部分入れ歯の基本情報・メリットとデメリット

はじめに

「入れ歯」と聞くと皆さんどんな印象をお持ちでしょうか？失った歯を補って，日常生活で欠かせない食事ができるようになるのですから、大きな支えになってくれるものですよね。しかし、噛みにくい，物がはさまる，歯茎にあたって痛い、しゃべりにくいなど身近な方から聞いたり，イメージする方もいらっしゃるのではないでしょうか？ましてや初めての入れ歯となると不安に思うことも多いでしょう。

今回は，部分入れ歯のメリットやデメリット、種類、お手入れ方法など、今、部分入れ歯でお悩みの方はもちろん、初めて部分入れ歯を入れる方にもわかりやすく解説いたします。

部分入れ歯の基本情報

部分入れ歯とは

部分入れ歯とは，歯を失った部分だけに入れ歯を入れて補う方法です。部分入れ歯がズレたり外れたりしないように、入れ歯に取り付けた金属のバネを残っている歯に引っかけて固定します。残っている歯をほとんど削ることなく，噛み合わせや見た目を改善することができます。お口の状況はそれぞれ異なるため、バランスの取れた精密な設計をして作る必要があります。

部分入れ歯の種類・メリットとデメリット

＜保険適用の部分入れ歯＞

人工歯はプラスチック（レジン）のみです。見た目は違和感ないですが、少し厚めで装着時に多少の違和感を覚えることがあります。天然歯に掛けるバネの部分（クラスプ）も金属に限定されるため、金属部分が少し目立つことがあります。

＜金属床義歯＞

プラスチック製に比べて軽いので，重さによるストレスを軽減することができます。耐久性に優れ長期間使用することができます。ただし、金属アレルギーの方には不向きです。細かな調整ができるためフィット感がよく、違和感が少ないというメリットがあります。汚れもつきにくいため、においに関する不安も減らすことができます。

＜ノンクラスプデンチャー＞

金属のバネを使用しないので目立ちにくく、見た目が自然で、金属アレルギーの心配がありません。柔軟な素材を使っているので、装着感にも優れています。しかし、耐久性にやや欠けるのと、金属義歯に比べて安定性が劣るため、定期的なメンテナンスが必要です。

部分入れ歯ができるまでの流れ

①まず、口腔内の詳細な検査と診断から始まります。欠損部の状態や　　残っている歯の健康状態、顎の骨の条件などを診断します。

②型取りをします。口腔内にあわせ精密に設計された入れ歯が作製されます。型取りから口腔内に装着するまでの期間はおおよそ2週間です。

③実際に装着し、微調整を重ねていきます。フィット感や噛み合わせを追求し完成に近づきます。

初めて使う部分入れ歯の注意点

部分入れ歯は取り外しが可能ですので、毎日のお手入れが大切です。食後は、専用のブラシで優しく洗浄します。定期的に専用のクリーナーで洗浄することで，入れ歯に入り込んだ細菌の増殖を抑えることができます。においを抑えることにも繋がります。

また、就寝時は外すことが推奨されています。外した入れ歯は、水または入れ歯専用の洗浄液に浸しておくことで、乾燥によるひび割れや変形を防ぎます。

上手に付き合う方法

人工物をお口に入れることになりますので、特に初めての方は違和感を強く感じることがあります。

歯茎の締め付けや、しゃべりにくさ、疲労感を感じる場合もあります。多くの方は、数日から半年で慣れていきます。ゆっくり噛む。噛む回数を増やす。積極的に話したりすることも良いでしょう。痛みがあったり、違和感が続くときには歯医者さんで早めに調整してもらいましょう。違和感や気になることなどは我慢せず、こまめに相談しながら調整をお願いするようにしましょう。「入れ歯は一日にしてならず」歯医者さんと一緒に完成を目指していきましょう。

そして、定期的なチェックが必要です。時間の経過とともに，口の中の状態は変化するものです。早期に調整を行うことで、不快感やトラブルを防ぐことができます。

まとめ

1本でも歯を失ってしまうことは，身体的にも精神的にもショックですよね。当たり前の日常を送るためにも、失ってしまった歯を補う部分入れ歯は重要な治療法です。今回ここに紹介した以外にも、多種多様な部分入れ歯があります。患者様の状態にあわせた最適な選択が可能です。

よくある質問

Q1：慣れるまでの期間はどのくらいですか？

最初の1週間は違和感を感じることがありますが、多くの方は3日目くらいから慣れてくるようです。1ヶ月もするとだいぶ慣れ、不自由なく生活できるようになります。部分入れ歯は，見た目や機能を補う大切な装置です。美しい口元と機能を取り戻すためのステップと考えて前向きに慣れていきましょう。

Q2：部分入れ歯のメリットとデメリットを教えてください。

部分入れ歯のメリットは、健康な歯を残しながら欠損部分を補えるところです。外見の美しさも得られますし、食事の機能が回復することで認知症予防や、誤嚥性肺炎の予防になります。比較的低コストで治療が可能です。

一方デメリットは、掛けている歯に負担がかかること、長期間使用することで歯茎にあたる部分が劣化してくること、人工歯のすり減りなどが挙げられます。

Q3：部分入れ歯のお手入れ法は？

お食事の後、専用のブラシで優しく汚れを落としておくことが重要です。菌の繁殖を抑えるため、定期的に専用のクリーナーで洗浄します。寝るときは入れ歯を外しておきましょう。その際は、水または洗浄液につけて乾燥を防ぎます。定期的なメンテナンスと歯科医院でのチェックも必要です。